- 帰依 - 我を極めたい 動機は際やか この世態  留まっているだけでは我を知らぬまま 修行 巡礼 遊蕩どう呼ばれても構わない  閑人 烏滸 徒爾どう冷評されても構わない 寄り道 目移り わびさびを許容する自己知の希求  荷物は軽め 構えは斜め 利かすは捨て目  旅の始まりは雨上がりの虹がいい  旅の終わりは夕闇の静けさがいい  空蝉に習う儚さと報いの跡 叶うならばあらゆる端と底に触れたい  叶うならばあらゆる常闇と光明に触れたい 叶うならばあらゆる過去と未来に触れたい  願わくば衆生 生命の息吹に触れたい  運命 宿命 天命 転がる人生  津々浦々 命さらし 丸腰の魂  ともすれば思いの強さは他者を飲み込み  ややもすれば思いの弱さは我を飲み込む 静まらない煩悩 収まらない本能 煩悶懊悩  劫は語りかける人の清濁 暴を似て暴に易え其の非を知らずにいた あのご仁も老いには勝てず 屈強と言われた あの方の五体にも忍び寄った岩の影  人は病の器 無常の風は時を選ばず  名残の声はあの人に届いてるだろうか  沙門の背中を見送り 我の背中を振り返る 決して雅談にはならない 業が深い  泥沼の人輪にも蓮華は開くだろうか 法を灯火とする事は なんと至難な… 津々浦々 我さらし 剥き出しの魂  ともすれば想いの強さは他者を飲み込み  ややもすれば想いの弱さは我を飲み込む 抜けない三毒 切れない孤独 一切皆苦 劫は語りかける人の功罪 あんなに取り戻したかった  あなたとの季節も清算できてしまう 諦めると書き 明らかにすると説く 逢うは別れの始め 澄んだ青空 深山の緑 小川のせせらぎ  野辺の草花 豊穣な大地 凪いだ海 古の人々も似たような情景を見ていたのだろうか  生き物達を敬ったのだろうか 決して美談にはならない 業の深い  我が泥沼にも蓮華は開くだろうか 自らを拠り所とするのは なんと至難な… なんと至難な… 不浄と清浄を合わせ 合掌